2010年9月23日木曜日

以下の症例の治療方針はなぜ正しいか

さん

以下の症例の治療方針はなぜ正しいか

68歳、男性、多発性骨髄腫IgG,StageⅡで4年前より化学療法を行っており、病勢のコントロールは良好です。
しかし2か月ほど前より全身倦怠感、全身浮腫、尿蛋白陽性と低アルブミン血症をきたしておりました。
また胸部写真にて心拡大を認めます。現在の状態の診断のため、消化管内視鏡検査と生検、さらには心筋の生検が
必要と考えられました。

さて、消化管内視鏡検査と生検が必要な理由はなんですか。教えてください。

さん
2か月ほど前より全身倦怠感、全身浮腫、尿蛋白陽性と
低アルブミン血症をきたしておりました。
ということから、患者はネフローゼ症候群であることが想像できます。
直ちに、ネフローゼ症候群の治療目的で、ステロイドを投与したい所ですが、
それが困難な理由があります。

ネフローゼ症候群の原因として多くを占めるものに、膜性腎症が挙げられます。
膜性腎症には、原発性、2次性があり、この患者の場合、2次性が疑われます。
というのは、2次性膜性腎症の原因として悪性腫瘍があります。
多発性骨髄腫のコントロールは良好ですが、
消化器に、多発性骨髄腫が転移、または新規発がんにしている可能性があり、
免疫機能を押さえるステロイド剤を投与できないからです。

つまり、消化器癌の可能性を検討するために、
消化管内視鏡検査と生検が必要になると考えられます。

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