2011年12月13日火曜日

医者の告知

さん

医者の告知

私の知合いの方の、ご家族が『末期の癌』で亡くなりました。

病院で癌が見つかった時は、既に転移がひどく手の施しようが無かったそうです。

検査の結果を伝える席で担当の医師は
事前に何の説明も無く、いきなり全ての事実を患者さんと、ご家族に伝えたそうです。


『あなたの癌は末期癌です。治療の施しようがない、余命を考えたら自宅療養にしなさい』
このような内容の告知だったそうです。
絶望の告知だったと思います。

でも、その患者さんは
家族の前では決して弱音を吐かずに事実を受け止め、癌と闘い?苦しみながら亡くなって行ったそうです。

この患者さんの話を聞いた自分は、告知の事実や患者さん、家族の気持ちを思うと辛くなりましたし、また自分が患者さんの立場ならば、とてもこのような告知には耐えられないだろうとも思いました。

確かに告知する言い方を変えたり、事実を隠しても何一つ変わる訳ではありませんが
告知を受けた患者さんの絶望感や悲しみ、他の家族の苦しさややりきれなさを考えると
もう少し思いやりのある言葉や、方法は無いのかと思います。

‥それとも、思いやりのある言葉なんて、何の意味も持たないのでしょうか

さん
まったく個人的な見解なんですが、お医者さんが救わなきゃいけないのって、体じゃなくて心の方だと思ってます。

もちろん、治療できる肉体は治療するのですけど、でも、どんな名医でも人の命を永遠に延ばすことはできないじゃないですか。
病気になって心細くなった時に、その人の気持ちに寄り添った言葉をかけることこそ、ほんとは人が医者に求めていることなんじゃないのかと思います。

告知の問題、私も、とある事情からいろいろ勉強しているんですが、どうすれば患者さんにとって受け入れやすいものになるのか、難しい問題みたいです。
ただ、やはり、治療の施しようがない????という言葉は、医師の側の過失といいますか、問題がある言葉のように感じます。告知の際には、患者の希望を奪うような言葉を言うべきではないと、実際にがん患者を診てきた多くの医師が言っています。
そして、医師にできることはまだいっぱいあります。残された人生で、やりたいことがやれるように、痛みを緩和する薬の処方などを患者さんと相談して、決めていくことだってできたはず。ただ、一般の病院ではベッド数も限られていて、治療の種類も方針もホスピスとは違うので無理なのでしょう。
あるホスピスでは、末期の患者さんに、やりたいことをいっぱい持ってきてくださいと、お願いするそうです。それができるように治療を行いましょうと。
もし、こういった治療方針が、もっと一般化されていれば、残された時間が限られていても、その中で家族と旅行に行ったり、友人に来てもらって話をしたり、人生の最期を充実して過ごすことができたはずだと思います。(今の日本の医療のシステムでは無理なのでしょうね。世界的に見れば、日本の医療制度はこれでも相当マシだとは思いますが。)

ただ、医師の肩をもつわけではありませんが、医師の伝え方は残酷でまったく伝わってはいないですけれども、思いやりがなかったわけではないのだと思います。
なぜって、その方が、もし最期の時間をご家族と過ごされたなら、たぶん病院で過ごされるよりは、「幸せ」な最期であったと思うからです。
(すみません。苦しみながら????と書かれているのに、幸せという言葉を使ってしまって。)
やはり、普通の病院での最期となると、医者としてどこで延命の手を引くかという引き際が難しくなってしまう。今の医療は進んでいますから、手を尽くせば、かなり生かし続けることが出来てしまいます。一度、延命のための装置をつけてしまうと、それを外すことが、即、その人の命の終わりを意味してしまうため、よほどのことがない限り外すことは検討されません。そうなるといわゆる、腕も口もチューブだらけの状態で会話もかわせなくなってしまいます。鎮静剤も処方されますから、それこそ意識も朦朧と、ただ、その瞬間を待っているような、そんなのは自分が患者なら、絶対に嫌です。

告知そのものも、日本でアンケートを取ると、告知されたくないう人も結構な割合でいるようです。難しいですね。
ポスピスの考えが進んでいるある国での最新の考え方は、本人には必ず告知する、家族への告知は本人の了承を取ってから、なんです。私もどちらかと言えば、この考え方があっています。自分が患者なら、自分の根源的なことを、自分の知らないところで、たとえ家族だとしても告げられたくはありません。
でも、まだまだ、医師の側にも告知ということに、迷いも恐怖もあるんでしょうね。一番苦しいのは、患者さんとそのご家族なんですけどね。

緩和医療という分野は、まだ発展途上みたいです(日本でも学会の設立は1996年とかなり新しいです)。あと20年もしたら、ずいぶん変わっているんじゃないかと期待したいです。

長々とすみません。

さん
質問者さんの気持ち凄く判ります。が、私なら、『私だけにストレートに告知してもらいたい』と思いました。こんな性格の人もいるんですよ。それで逆算して人生楽しみますから。人それぞれですから、患者や家族の性格を見抜いて告知をしてもらえればいいですね。ま、性格を見抜くのも難しいし、大変ですけど、それも医師という人の命を預かる職種の大切な責任かと。


ブログ アーカイブ