2009年7月26日日曜日

乳癌について質問です。知り合いの60歳の女性が最近乳癌と診断されましたが手術は...

さん

乳癌について質問です。知り合いの60歳の女性が最近乳癌と診断されましたが手術は本人に負担となる為、 とりあえずホルモン剤(フェマーラ錠2,5mg)を朝一回のみを処方されました。ホルモン剤を服用することで、???が小さくなる方もいらっしゃるとの事ですが、手術せずに転移などは心配ないのでしょうか?また、薬の副作用として眠気やめまいを起すとの事ですが、その他の副作用は本当にないのでしょうか?そして、日常生活の中で何か気をつける事はありますか?どなたか詳しい方がいらっしゃったら、教えて下さい。よろしくお願いします。

さん
まず、ホルモン剤は乳癌の根本的な治療にはなりません。
手術は本人の負担になるとのことですが、手術を受けることは大前提のはずです。
もし患者さん本人が手術は受けなくていいと誤解されていたら大変ですから、もう一度主治医に説明を受けてくださいね。

フェマーラは現時点では、①?③の全部に当てはまる場合に使うことがみとめられています。
①閉経後の女性
②ホルモン感受性のあるタイプの乳癌
③手術をした後の補助治療

手術前に服用する場合も病院によってはありますが、今のところ標準治療ではありません。また、その目的は癌をやっつけることではありません。手術前に服用する場合は、少しでも癌が縮んでくれれば小さな手術(乳房温存手術)にできるんだが...という期待を込めた治療です。もちろん効かない場合もあります。
手術前にフェマーラを服用しているときに転移しないかどうか、これについては信用できる研究結果はありません。フェマーラが効くんだったら、服用している間は大きくなったり広がったり転移したりしないはず!という見込みでしかありません。(だから標準治療ではないのです)

とっても嫌な話ですが、有名病院や人気病院で手術待ちの患者さんが多い場合に、手術までの時間稼ぎとして処方することもあります。手術前の抗がん剤をするほどではないけど、すぐに手術もできないし、かといって何もせずに放っておくわけにもいかないし...という時に、副作用の少ないフェマーラは選択しやすいのです。

副作用ですが、フェマーラは基本的には重大な副作用は起こりにくい薬です。
一番話題になるのは顎骨壊死です。また、骨密度が下がりやすいので、これについては定期的なチェックが必要です。関節痛やこわばりもよく見られます。もちろん薬ですから、少ないとはいえ、どんな副作用も起こる可能性があります。何か変わったことがあったらしっかり主治医に相談してくださいね。

最後に、私個人的な考えで恐縮ですが、癌のタイプを選べば、手術前のホルモン治療は有効だと考えています。ホルモン剤が効けばよし、あまり効かない場合も、効かないと分かったおかげで手術後の治療に使わずに済みますから。

乳癌は治療方針が施設によってかなり異なるので、主治医の説明や方針に疑問を感じたら、是非ともセカンドオピニオンを受けてくださいね。乳癌は、術後も何十年もつきあわなくてはいけない病気ですから、納得いく病院と納得いく主治医を見つけて、納得いく医療をうけてくださいね。

ブログ アーカイブ